日本の携帯電話の累計契約数は、2007年末には1億台を 突破し、人口普及率は80%を超える高い水準に達していま す。これまで成長を牽引してきたコンシューマ向け市場にお いては、契約数の増加ペースは徐々に鈍化傾向にあり成熟 期を迎えています。一方、通信モジュールや中・小規模を中 心とした法人市場については、今後も成長が期待できるもの と見ています。
公正競争ルールの整備に向けた総務省の「新競争促進プ ログラム2010」の下で開催されたモバイルビジネス研究会 の報告を受け、移動通信事業者は販売代理店に端末販売奨 励金を支払うことで、お客様が負担する端末価格を下げるこ れまでの販売スキームに加えて、「通信料と端末価格を分離
国内携帯電話累計稼動台数/人口普及率
■累計稼動台数 ■人口普及率 出所:総務省、(社)電気通信事業者協会
(注) 累計稼動台数は3月31日に終了した各年度末、人口普及率は各年度10月1日 時点数値
0 30,000 60,000 90,000 120,000
100,000
(千台)
0 25 50 75 100
(%)
95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09
した新たな料金プラン」を導入しました。2008年度において は、この料金プランに基づく新販売スキームが日本における 携帯電話販売の中心となり、従来のビジネスモデルが大きく 変化しました。
au買い方セレクト
(料金は税込)
コース名 シンプルコース フルサポートコース
購入サポート(端末補助金) なし あり(21,000円)
端末利用期間契約 なし(分割払いの支払いは必要) 2年
料金プラン プランSSシンプル∼LLシンプル他 プランSS∼LL他 月額基本料*最安プランSSの場合 980円/月(無料通話1,050円) 1,890円/月(無料通話1,050円)
分割払い あり(12回/18回/24回) なし
*「誰でも割」ご契約時の基本料金。
日本のコンシューマ向け携帯電話市場が成熟期を迎える中、通信料・端末価格分離プランの
浸透と景気後退の影響により端末販売台数は大幅に減少。お客様獲得に向けたサービス競争
は激しさを増す。
日本のコンシューマ向け携帯電話市場の成熟化
通信料・端末価格分離プランの浸透による端末販売台数の大幅な減少
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KDDI CORPORATIONAnnual Report 2009 市場環境分析
移動通信
100年に1度と言われる世界的な景気後退の中、2008年 度の日本経済は非常に厳しい環境下にありました。移動通信 事業に与える影響としては、通信料・端末価格分離プランに よる端末販売価格の上昇が嫌気されたことから、端末販売台 数の大幅減を招く一因となったと見ています。一方、ARPU への影響については、当社においては、特にコンシューマ向
コンテンツ・メディア市場は、データ通信料金の定額制の 拡がりや3Gネットワークの進展により、これらを活かした高 速かつ大容量のコンテンツ提供が可能となり、着実に伸びて います。また、従来のダウンロード型コンテンツに加え、 SNS*などユーザ発信型のコンテンツやYouTubeなどの動 画配信サービスの携帯電話での利用が拡大しています。 なお、携帯電話で利用可能なサイトには役立つ情報が多数 存在する一方で、詐欺まがいの「悪質サイト」や18歳未満の 青少年には提供が禁止されている「出会い系サイト」、「成人 向けのサイト」も存在しています。これに対して、2009年4
け市場を中心に音声通信・データ通信ともに景気後退による 大きな変化は見られていません。その一方で、一部法人向 け市場においては、既存顧客における未利用端末の解約や、 新規案件の規模縮小・延期・見送りなど、景気後退の影響が 少なからず発生しています。
月から「青少年が安全に安心してインターネットを利用でき る環境の整備等に関する法律(青少年インターネット環境整 備法)」が施行され、18歳未満の青少年に携帯電話・PHSを 販売するときは、保護者の申出がない限り、インターネット 上の有害情報の閲覧を制限するフィルタリングサービスを設 定することになるなど、行政、電気通信事業者、コンテンツ プロバイダー などを中心に、青少年における「有害サイトア クセス制限サービス」(以下、フィルタリングサービス)の普 及促進に向けた取り組みが進められています。
*SNS:Social Network Service
(注) YouTubeは、YouTube.INC.の登録商標です。
携帯電話国内出荷台数実績
(3月31日に終了した各年度) 出所:(社)電子情報技術産業協会
0 10,000 20,000 30,000 50,000
40,000
(千台)
04 05 06 07 08 09
お客様が新販売スキームにより携帯電話端末を購入され る場合には、原則、通信事業者による販売代理店への端末販 売奨励金が支払われなくなることから、従来型スキームとの 比較において、端末購入価格が上昇する結果となりました。 これに加えて、2008年度は景気後退の影響もあり、お客 様の端末購入の買い控えや既存端末の保有期間の長期化が 顕在化した結果、日本の端末販売台数は前年度比で約30% と大幅に減少しました。当社においても、販売台数は前年度 比で32%減少し、またこれに伴い、特に上半期においては、 端末メーカへの発注済端末数と販売台数との乖離が生じた ことから、端末在庫が高水準になりました。
2008年度の日本の端末販売台数が前年度比で大幅に減少 する中、複数年契約型サービスの浸透や、新販売スキームに よる端末購入時の割賦支払い選択率の増加もあり、通信事 業者各社の解約率や機種変更率は前年度比で低下傾向にあ り、日本の携帯電話市場の流動性は大きく低下しています。
また、通信料・端末価格分離プランにおける通信料金は、 分離された端末販売奨励金相当額が、月々 の基本料金から 割り引かれるよう設定されているため、同プラン契約者の増 加に伴い、音声ARPUは、低下していくことになります。
景気後退の影響
コンテンツ・メディア市場
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KDDI CORPORATION Annual Report 2009
日本の固定通信市場は、現在、「直収化」「IP化」「ブロード バンド化」への転換期にあります。
20年ほど前に固定電話事業に中継系の電話事業者が参入 したときの状況は、アクセス回線を保有するNTTへの支払を 差し引いてもお客様の支払額の9割超が手取り収入となりま した。しかしながら、IP化が進む現在においては状況が一変 し、アクセス回線への支払がお客様の支払額の4分の3程度 を占めるようになり、手取り収入の割合が激減しています。 収入・収益の確保という観点においては、電話が中心で あった時代の中継系ビジネスからアクセス回線ビジネスへの 転換が重要になってきています。
成長を続けているブロードバンドサービス市場において は、FTTH(Fiber to the Home)、ADSL、CATV等を合わせ た契約数が、2008年12月末で初めて3,000万契約を突破 し、2009年3月末で3,033万契約になりました。また、FTTH サービスにおいて、FTTH提供事業者間における料金競争 や、インターネット接続に電話と映像サービスを組み合わせ た「トリプルプレイ」により商品力が強化されたことで、ADSL からFTTHへの移行が進み、2008年6月にはFTTHの契約数 がADSLの契約数を上回りました。
中継系ビジネスからアクセス回線ビジネスへの転換が進み、 「直収化」 「 IP 化」 「ブロード
バンド化」のトレンドが継続
ただし、動画配信サイトや大容量のデータダウンロードな どを利用されないお客様の中には、ADSLサービスで十分満 足されるお客様もあり、FTTHサービス契約数の伸張率は鈍 化しています。
また、本来FTTHサービスの特長であり、ARPU拡大の要 素でもある高速・高品質な特性を活かした映像サービスにつ いては、著作権法上の問題などにより、本格的に立ち上がっ ているとは言えない状況です。
一方、インターネット接続では、電話局から家庭までの区 間でEthernetのフレームをそのまま送受信することを可能 とする技術開発により、上り/下りともに最大1Gbpsの通信 速度を実現するサービスが注目されています。
このような状況において、当社では、2008年4月に中部テ レコミュニケーション株式会社(以下、「CTC」)を連結子会 社化することで顧客基盤を拡大し、2009年3月末のFTTH契 約数は前年度比54.8%増の109万9千契約となりました。
国内ブロードバンドサービス契約数 国内FTTHサービス契約数の伸長率
■ FTTH ■ CATV ■ ADSL
出所:総務省報道資料「ブロードバンドサービスの契約数等(2009年6月19日)」 0
1,000 2,000 4,000
3,000
(万契約)
05.3 06.3 07.3 08.3 09.3
0 5 10 15 20
(%)
05.3 06.3 07.3 08.3 09.3
FTTH がブロードバンド市場の牽引役に
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KDDI CORPORATIONAnnual Report 2009 市場環境分析
固定通信
固定電話サービス市場(加入電話、ISDN、IP電話を合わ せた固定電話全体)においては、携帯電話の普及の影響もあ り、2009年3月末で前年同期比1.8%減の6,752万契約と、 引き続き減少傾向を示しています。
このうち、加入電話とISDNの契約数の合計は前年同期比 7.7%減の4,730万契約と、契約数のピークであった1997 年度末の6,285万契約と比べて、24.7%の減少となってい ます。
減少する固定電話サービスの中で、IP電話は増加傾向に あり、特にFTTHやCATVをアクセス回線に使った0AB-J系 および050系IP電話は前年同期比15.3%増の2,022万件と 大幅に増加しています。
当社では、アクセス回線にFTTHやCATVを利用した「ひかり one電話」や「ケーブルプラス電話」などを積極的に展開してお り、IP電話サービスにおけるシェアは9.9%となっています。
わが国の経済が厳しい環境にある中で、コンシューマ向け 市場における景気後退の影響としては、消費者の節約志向の 強まりもあり、ADSLからFTTHへの移行速度が鈍化するこ とによるFTTHサービス契約数の伸長率低下や、FTTHを利 用した多チャンネル放送・VODなどの映像サービス拡大の遅 延など、一部影響が出ています。
また、法人向け市場においても、足元の状況としては景気 後退による企業の通信費削減や社内拠点の縮小などの影響を 受け、一時的に顧客単価の減少や解約の動きが出ています。 一方で、企業間通信などの大容量化に対応し、企業内通信 網で利用されるサービスとして、帯域保証型の専用サービス からIP-VPNサービスや廉価な広域イーサネットサービスへ と移行が進んでおり、VPNサービスは長期的な観点で今後 も成長が期待されています。
国内VPNサービスの契約数 国内固定電話サービスの契約数
■広域イーサネット ■ IP-VPN
出所:総務省報道資料「ブロードバンドサービスの契約数等(2009年6月19日)」
■ 0AB∼J-IP電話 ■ 050-IP電話 ■ ISDN ■加入電話
出所:総務省報道資料「電気通信サービスの加入契約数等の状況(2009年5月29日)」
0 20 40 80
60
(万契約)
05.3 06.3 07.3 08.3 09.3
0 2,000 4,000 8,000
6,000
(万契約)
05.3 06.3 07.3 08.3 09.3
加入電話から IP 電話へのシフトが進む
景気後退の影響
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KDDI CORPORATION Annual Report 2009